原水水質は、塩化第二鉄による凝集沈殿後、活性汚泥処理を行い、BOD、CODが、ともに約50mg/L、Mo(三酸化モリブデン)は、100〜250mg/L含有しており、PHは中性域の排水です。
原水に対し、250g/m³のA.Iを添加し、30分間の反応時間をとります。その後、塩化第二鉄を500g/m³添加し、苛性ソーダでPH5.5に調整し、その上澄み液のMo濃度を測定します。
この例では、Moの除去率は99%以上となります。又、塩基性染料(ローダミンB)の着色も消すことができます。
A.Iの排水処理への応用
1. Mo(三酸化モリブデン)含有排水処理例
使用薬剤 | 使用量g/m³ | Mo濃度(mg/L) |
除去率(%) | |
処理前 | 処理後 | |||
A.I+FeCl3 | 250+500 | 105 | 0.1 | 99.9% |
A.I+Fe2(SO4)3 | 250+1000 | 107 | 0.1 | 99.9% |
活性炭 | -------- | 117 | 59.4 | 49.4% |
FeSO4 | 3000 | 125 | 7.7 | 93.8% |
BaCl2 | 5000 | 198 | 7.6 | 96.2% |
Na2S+吐酒石 | 2000+1000 | 151 | 6.8 | 95.5% |
重金属捕集剤(注1) | 1500 | 18.6 | 3.8 | 79.6% |
※注1ポリアクリル酸のオリゴマーを主成分とする。
特許共同出願中(特許 平9−177158号)
2. 工場排水処理の実例
原水水質は1.の例と同様に塩化第二鉄による凝集沈殿後、活性汚泥処理を行い、BOD、CODがともに約50mg/L、三酸化モリブデン(MoO32-)、三酸化タングステン(WO32-)、三酸化アンチモン(SbO32-)がそれぞれ下記の濃度で含有しており、PHは中性域の排水です。1.の例と同様、原水に対し250g/m³のA.Iを添加し、処理を行いました。
MoO32- | WO32- | SbO32- | ||
(1) | A.I処理前 | 93mg/L | 13mg/L | 2.4mg/L |
処理後 | 0.6mg/L | 0.1mg/L | 0.056mg/L | |
除去率 | 99.4% | 99.2% | 97.7% | |
(2) | A.I処理前 | 97mg/L | 9.2mg/L | 0.82mg/L |
処理後 | 0.7mg/L | <0.1mg/L | 0.025mg/L | |
除去率 | 99.3% | >98.9% | 97.0% | |
(3) | A.I処理前 | 120mg/L | 14mg/L | 0.84mg/L |
処理後 | 1.1mg/L | 0.3mg/L | 0.026mg/L | |
除去率 | 99.1% | 97.9% | 96.9% |
例(1)、(2)、(3)の処理前の原水に含有している重金属の濃度は、稼動条件の違いにより差が生じていますが、A.Iの処理効果は高く、除去率は安定した数値を示しています。 以上のように、これまで捕集が困難と言われていた重金属をも捕集可能(凝集沈殿可能)にさせるA.Iは、飛灰処理剤としても、高い実績を誇っています。カドミ、鉛、クロム、砒素等の重金属を含んだ排水処理にも非常に有効な処理剤です。ご相談は、弊社本社技術部までご連絡下さいます様お願いいたします。